夜に降る水晶をさがして… 1
妹)お兄ちゃん
  夜のお空ってとても暗いんでしょ?

兄)そうだよ、夜のお空にはね
  いっぱいのお星様が輝いていてとても綺麗なんだ。

妹)一度でいいからお星様を観てみたいなぁ

兄)観られるさ

妹)ほんと?

兄)あぁ、きっと…
  きっとお兄ちゃんが観られるように
  してあげるよ
  あの伝説の水晶の力で…


夜に降る水晶をさがして… 2
夜に降る水晶伝説…
もちろん天文学を志す僕が
そんな根拠の無い伝説を
信じている訳では無い…
ただ、医師にも見放された
妹の瞳を僕は諦めることが出来なかった
瞳に入りきれないほどの
星々のキラメキを
あの娘の瞳に映すために
僕は理解を超えるその伝説に
かけてみたくなった
夜に降る水晶をさがして… 3
夜に降る水晶伝説
空気がピーンと張りつめている
そんな夜
それは空を渡られる
その行き先は
どんな願いも遂げることの出来る場所

夜に降る水晶をさがして…4
水晶を探す旅に出て
100日があっという間に過ぎて行った。
その間いく度か水晶は現れ、
その度に僕は観測を続けた。
夜に降る水晶をさがして… 5
100と30日目の夜
空気がピーンとはりつめた夜空
僕の真上を水晶は渡って行った。
夜に降る水晶をさがして… 6
100と70日目の夜
今夜も水晶は現れ、街を一つ超えて行った。
水晶は僕をあの場所へと招こうとしているように感じる。
夜に降る水晶をさがして… 7
200日目の夜
今夜も僕は観測を続ける。
水晶は前にそびえ立つ山を見下ろしながら
山のむこうに降りて行った。
僕はその方向に向かい旅は続く…。
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